福島県の南西の端、尾瀬の玄関口とも呼ばれる檜枝岐村。
ここは断ちそばで名高い。
この村にはそば屋も多く、どの蕎麦屋でも昔ながらのそば粉だけで作ったそばを味わうことができる。
ここで出されているのが”はっとう”と呼ばれる料理である。
そば粉ともち米で作ったのし餅をくず餅程度の大きさに切り分け、
ごま、くるみ、砂糖、しょうゆで作った甘いたれをかけて食べる。
言わば五平餅のそば版とも言えるのだが、
実はこの変わった名前には由来がある。
寒冷で平地の少ないこの村では稲の栽培が思うように出来ない。
ここではそばが主食なのだ。
当然、もち米や砂糖、木の実をふんだんに使った
”はっとう”が食べられるのは祝い事があったときだけで、
その時以外にこの料理を出すのはご法度である。
だから”はっとう”。
昔の厳しかった時分とは違い、
今ではいつでも食べられる”はっとう”だが。
もし食べる機会があったら、その昔を偲んでみるのも一興だろう。 |