チョコレートをたっぷり使ったケーキを”悪魔”と称することがある。
甘さと苦みが渾然一体となったその魅力はまさに”悪魔の囁き”、
抗いがたいその魅力に屈した人なら実感できるのではないかと思う。
逆に”天使”と呼ばれるケーキも存在している。
卵白と砂糖、小麦粉だけで作った純白のケーキはまさしく天使の食べ物。
いささか味気ないものの、その無垢な姿には感動すら覚える。
キリスト教では悪魔サタンは元々天使、
それも七大天使と同等の格を持ったルシフェルが堕落した姿だと言う。
神に反旗を翻して軍勢を率いて戦い、そして敗れて追放された。
だが考えてもみて欲しい、
品行方正で物欲のかけらもない天使たちに比べ、
猥雑で欲得ずくで行動する悪魔たちのなんと人間味のあることか。
この世が神の国になったとしたら味気なく感じる人は多いと思う。
おそらく、悪魔とは人間の欲望を具現化したものなのだろう。
ケーキとて同様。
欲望に負け、ほんの少しのチョコレートを加えられた天使の食べ物は
サラダオイルと言う名の魔力を受け入れてより一層軽く焼き上げることができる。
もちろんカロリーと言うリスクはあるものの、
それを補って余りある風味と食感は、
一度体験したらやめられなくなること請け合いである。
一説によると、悪魔とはその宗教が取り込めなかった土着の神さまなのだそうだ。
発祥の地であるマヤ帝国では”神の食べ物”と呼ばれていたチョコレート。
キリスト教徒から見れば悪魔の食べ物と思われても仕方がないのかもしれないね。 |