日本へは文明開化以前から西洋のお菓子が入ってきている。
それらは主にポルトガルから伝わってきたものだ。
しかしそれら全ては日本の味覚に合わせて長期間改良を続けられ
今では名前と共に和菓子として定着してしまった。
日本人は古来より海外の文化を取り入れることが得意で、
それは政治経済や言葉にまで至っている。
しかもそれらがただのコピーに留まらず、
以前よりの文化の一部とでも言うまでに昇華されてしまうのは
我が国の事ながらあっぱれと言うほかはない。
お菓子に関してもまったく同じ。
それまではあまり食べることのなかった牛乳や卵を原料とする西洋のケーキを
素晴らしいネーミングのセンスで日本語として取り入れてしまった。
カステラはカスティリア地方のお菓子の意味の”ボーロ・デ・カスティーリョ”を語源を持ち、
金平糖は砂糖菓子の”コンフェイト”、
有平糖は飴菓子の”アルフェイト”、
ぼうろはそのものずばり”ケーキ”を意味する”ボーロ”だ。
この”横文字の日本語化”を文化の昇華のためのキーワードと見ることができる。
ところが今では少し様子が違う。
海外からの文化を取り入れるのは同じなのだが、
昔よりも遥かに多く流入する外国文化を捌き切れず、
ついに横文字をそのままカナで読んで扱うようになってしまった。
ケーキの名前も当然横文字のまま。
これは単なる”文化のコピー”であって、
今や日本の文化は危機に瀕していると言える。
しかし、その中で”プリン”と呼ばれる菓子はやや原語から逸脱している。
おそらくは”カスタードプディング”のプディングを聞き損ってプリンとなったのであろうが、
見事にその菓子の状態を言い得て妙である。
プリンは言わば日本の洋菓子とでも言える存在なのだ。
そして近ごろ流行の”なめらかプリン”。
レシピも味も間違いなくクレームブリュレであるのだが、
その名をそのまま紹介しなかったことで
この菓子も”日本の洋菓子”となることが出来たのだと思う。
これが人気の一因であるのは間違いあるまい。
コピーするだけなら誰にでもできる。
それを如何に自分のものにするかが最大の課題であるのは
ケーキでも人生でも同じことなのだろう。 |