毎年お彼岸の時期になると
『おはぎとぼたもちってどう違うんだ?』
などと家族の誰かが質問をする。
そのたび私が『それはこれこれしかじか・・・』
などと解説を始めるのが恒例となっている。(笑)
今年、ちょっとしたきっかけで以前書いたエッセイを読み直した。
すると今解説している内容とちと違う。
どうやらあのエッセイを書いてから新しい知識が増えたようである。
そんなわけで再度おはぎとぼたもちについてうんちくを並べることにする。
以前のエッセイでは、
春のお彼岸にその時期の花である牡丹を模した”ぼたもち”、
秋のお彼岸には萩の花を模した”おはぎ”を作ると書いた。
しかしこれでは
”何故春にこし餡で秋につぶし餡か?”の説明にはなっていない。
実はこれは餡の素材である小豆の収穫時期に関係がある。
秋のお彼岸は小豆の収穫時期とほぼ重なるので、
まだ採れたての皮の柔らかい小豆を餡にすることができる。
当然柔らかい皮も一緒につぶして”つぶし餡”として使う。
春のお彼岸には冬を越した小豆を使うことになり、
当然固くなっている皮はそのままでは食感が悪い。
そこで皮を取り除くためにいったん晒す工程を経て
”こし餡”にして使われる。
これが春にぼたもち秋にお萩の本当の理由である。
ところが保存技術の発達や品種改良によって、
春でも皮のまま使うことのできる小豆が登場して、
以上述べた理由はまったく意味のないこととなってしまった。
今では一年中こし餡だろうとつぶし餡だろうと
好きな食べ方ができるようになってしまったわけだ。
いつまでもこし餡だつぶし餡だと騒いでいたら、
供養されるご先祖様も浮かばれまい。
和菓子は本来美しい日本の四季折々の表情を表現したものである。
せめて春のお彼岸くらいはこし餡のぼたもち、
秋ならばつぶし餡のお萩で日本の風情を楽しみたいものである。 |