[back][index][next]

テンパリングの化学
チョコレート
市販の板チョコが暑さで溶けてしまい、冷蔵庫で固めた経験のある方は多いと思う。
そんなチョコレートには必ずといっていいほど白い斑点のような模様が浮かびでる。

これはチョコレートに含まれるカカオバターが熱によって溶けてしまい、再度結晶化する際により密度の粗い結晶構造へ変化したために起こる。

カカオバターは複数の脂肪酸から構成され、その結晶構造には少なくとも4種類がある。
板チョコの製造工程においては、もっとも安定した結晶構造になるように温度を調整している

これをチョコレートのテンパリングと呼ぶ。


チョコレートをコーティングに使おうとする時、もっとも問題になるのがこのテンパリング。
特に製菓用として調整されたクーベルチュールチョコレートは市販の状態ではテンパリングされていないものもあり、そのままでは口解けも悪く、食べても美味しくない。
 

カカオバターの結晶構造は次の4種類。

γ型  融点16〜18℃
α型  融点21〜24℃
β’型 融点27〜29℃
β型  融点34〜36℃
温度に幅があるのは産地の気温による。

融点の高いものほど安定であり、密度も高い。

テンパリングの目的はカカオバターの各結晶構造の融点の差を利用し、結晶構造を全てβ型にすることである。


工場などで大量に扱う場合、まずチョコレートの温度を40℃以上まで上げて完全な液状にする。
次に撹拌しながら恒温曹で30℃を保つ。
これによってβ型のみの結晶を析出させることができる。

ただしこの方法では結晶の析出に時間がかかるため、家庭で少量を扱う場合は別の方法を使う。

温度を40℃以上まで上げるまでは同じだが、これを撹拌しながら25℃前後まで下げ、β型と一部のβ’型の結晶までを一気に析出させる。
そして再度30℃にまで加熱してβ’の結晶を溶かすことでβ型のみを残す。

また、第三の方法として、
粉末にしたテンパリング済みのチョコレートを30℃を保ったチョコレートに加え、
β型結晶の生成を促進させる方法もある

結晶が大きくならないように常に撹拌し続けるのがポイントである。
 

使用時にはβ型の融点である34℃を超えないよう、またβ’型の融点である29℃以下に下がらないように十分注意する。*注

ただし、どちらの場合でも60℃以上にまで温度を上げると、カカオバターそのものが変質してしまい固まらなくなってしまう。
溶かす手間を省くために直火にかけたり、電子レンジで加熱することは極力避けるべきだろう。


温度や作業の意味がわかれば失敗も少なくなる。
手順ひとつひとつには意味があることを忘れぬよう。
 

*注
MERINGUES NETのwebchefさんからご指摘がありました。
確かに理論上ではそうですが、実際にはカカオバターの固体指数が変化して30℃付近から一部の結晶が溶け出すそうです。
また、一旦β型になった結晶はβ’型には変化しにくいとのことでした。

作業現場では扱いやすい31〜32℃を上限にしているそうです。

謹んでお詫びした上、訂正させていただきます。


[HOME]
2001/02/10 update2001/03/03 revision