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見えざる敵
柿と栗のケーキ
栗のシーズンともなるとアメリカ在住の方から毎年のように
生の栗が入手できない』との質問が来る。
でもアメリカに栗の木が無いわけではなく、は巨木になっていたそうだ。

では今は?

20世紀初頭、アメリカでは栗胴枯病がまん延し、
ほとんど全滅に近いありさまになってしまった。
今ではこの菌に耐性のある日本種や中国種を導入し、
栗の再生を計っているそうだ。

この菌は本来アメリカには存在しなかった菌であり、
人や材木などの輸出入によって海外からもたらされたものだ。


栗に限らず、各種果実、さつまいもなどの根菜にも同様の虫害があり、
今でも持ち込みに各種制限を設けている国がある。

大陸や沖縄のさつまいもの寄生虫の線虫類、
熱帯産の果実に寄生する各種ミバエ、
これらは日本本土にはまだ上陸していないため、
無理に持ち込もうとすれば税関で没収となってしまう。

またヨーロッパのブドウが
アメリカから持ち込まれた根ジラミ(フィロキセア)によって
壊滅的な打撃を受けたこともある。

世界的に物品のやりとりが行われている現状では、
これらの害を完全になくすのは難しいようだ。


そろそろクリスマスともなると、果物店の店先には苺が並ぶようになってくる。
この苺は軒並みウイルスに寄生されていることをご存じか?

最近、苺をウイルスの感染より早く分裂する芽の成長点の細胞から培養し、
ウイルスに侵されていない大きな株を作り出す試みがなされているそうだ。

本来の苺はこのように大きな株に成長するのだが、
土壌にいるこのウイルスにすぐに侵され、株は萎縮してしまう。

つまりは感染して萎縮した状態が通常の状態となっているわけだ。

同じことが今アメリカの栗にも起こっている。

本来ならば大木へと生長するはずだった栗の木が森の下生えとして実を付け、
菌によって枯れるまでの短期間で世代交代をしているのだそうだ。


生命とはかくもしぶといものである。
いつの日かすべての国の植物が害虫に耐性を持つ日が来るのかもしれない。

ただしその時はもう人間がいないこと請け合いなのだが。


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2000/11/25 update