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リンゴの気持ち
リンゴ
最近AP(アップルポリフェノール)なる言葉を耳にした。

未熟なうちに摘果される果実には、
完熟果では少なくなってしまう各種ポリフェノール類が多く含まれていると言う。
これらを健康補助食品として再利用する体制が整いつつあるらしい。


『一日一個のリンゴは医者を遠ざける』とのことわざもある通り、
リンゴは昔から健康食として知られていた。
どうやらリンゴに含まれているこれらのポリフェノールの効果を
当時の人たちが経験的に知っていたと思われる。

リンゴのみならず、近ごろ噂のクランベリー、ブルーベリー、赤ワイン、そして紫いも、
これらはみなポリフェノールを多く含んでいる。

以前エッセイで書いたように、植物は自分の生存に有利なように進化してきた。
ではこのポリフェノールは植物の生存に於いてどのような働きをしているのか?


被子植物の生存に欠かせないのが昆虫。
昆虫がいなければ受粉できない植物は数え切れない。

しかし昆虫はその植物本体を餌として食べてしまうこともある。
上記のポリフェノール、そしてアルカロイドは、
このような昆虫たちをコントロールするために植物が獲得した手段である。

実際、ポリフェノールは種子や未熟果に多く含まれ、
これら植物の生存にとっての重要な部分を昆虫から守るように働いている。

昆虫たちとてなすがままになっているわけではない。
ある種の昆虫は、蛋白質を変性させる働きを持ったポリフェノールを
無効化する酵素を持っていると言う。

こうしてイタチごっこは続き、植物は各種の”毒”を持つに至った。

小型の昆虫たちにとっては生きるか死ぬかの問題でも、
体の大きさが桁違いの我々ならば、
これらの毒を薬として使うことができると言うわけだ。


本来なら虫除けとして獲得した手段であるのに、
今やポリフェノールは引っ張りだこ。

しかし、リンゴにとっての今の状況は、
種を存続させるために大きく役立っているのには間違いない。
これでは人間への対抗策を講じることもできまい。

リンゴに意識があれば苦笑していること間違いなしである。

 

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2000/10/28 update