| 中華料理に杏仁豆腐と言う食べ物がある。
これはアンズ(に似た果実)の仁のエキスを煮て固めて作る。
アンズもアーモンドもバラの仲間であり、それらの仁は甘い香りがする。
これは一般に”アーモンド臭”と呼ばれるもので、
あの猛毒の”青酸”の匂いと同じものである。
これ以外にもバラの仲間の種子の仁には青酸が含まれているものが多く、
生で食べると中毒を起こす。
良く『青梅の仁を食べるとお腹を壊す』と言われるアレである。
植物の中でも比較的最近になって現れた被子生物には
動物にとって有害な物質を含んでいることが多い。
先の青酸しかり、ナス科の植物に多いアルカロイドしかり。
これらは動物に食べられないようにするために
植物が進化してきた結果である。
ちなみにタバコもトリカブトもナス科だ。
自らのテリトリーを広げるため、
果実には目立つ色を付けて動物に見つかりやすくし、
わざと食べてもらってその種子を運ばせる。
しかし、その果肉は水分が多く栄養価も比較的低く、
それに反して子孫を残すために重要で栄養価の高い仁は
固い殻で被ったり毒を含ませたりしておく。
こうすることで最低の損失で最大の効果が得られるわけだ。
ところが人間の登場で話は大きく変化した。
人間は自分たちに都合のいいように植物を品種改良し、
植物をより食べやすい形へと品種改良(改悪?)する。
そして本来毒であるはずの成分さえ嗜好品として摂取してしまう。
これでは植物はたまったもんじゃない。
しかし人間にとって都合のいいように改良された植物は
見方によれば繁栄を謳歌しているとも言える。
今、日本で一番数の多い植物は”稲”であることに間違いはないだろう。
人間の都合のいいように素直に変わっていく植物。
これも生き残るための一種の戦略なのかもしれないな。 |