| 先日富沢商店でみつりんごを見かけて購入した。
知っている人もいるかと思うが、
これは濃いめのシロップに四つ割りのリンゴを漬け込んだ
大変甘いお菓子である。
甘さのせいか最近ではあまり見かけなくなってしまったのだが、
まだこうやって売られているのは嬉しい発見だった。
こいつを食べていて、ふと昔のことを思い出した。
これはまだ私が幼稚園に行き始めた頃の話。
ある日、いつものように送迎バスで帰る途中、
迎えに来るはずの母が時間に間に合わなかったせいで、
私はいつもの降車場で降り損なってしまった。
バスは橋を渡って対岸にある次の降車場へ、
私はそこでバスを降りてしまう。
いつもならば川を右手にして5分ほど歩けば家に着くので、
母を待ち切れなくなった私はいつもと同じように川を右手にし、
あろうことか隣町へ向かって歩き出してしまった。
見知らぬ街、見知らぬ店。
さすがに心細くなり、空腹も手伝って歩きながら泣き出してしまう私。
それを見かけたある靴屋のご主人が私を店の中に上げてくれた。
そしてたまたまそこにあったみつりんごを分けてくれた。
あの味は今でもはっきりと覚えている。
その日からみつりんごは私にとって特別のお菓子になった。
みつりんごの味は人の優しさの味。
私の一番古い記憶のひとつである。
ひょっとするとこの記憶が私の人格形成に一役買っている可能性もある。
もしあの時道に迷わなかったら・・・。
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