日本のクリスマスケーキと言えば苺のショートケーキだが、
余所のお国ではちと事情が違う。
例えばイギリスのクリスマスケーキは”クリスマスプディング”だし、
フランスなら”ブッシュドノエル”、ドイツやオーストリアでは”シュトーレン”と言ったところか。
ブッシュドノエルは日本でもなじみがあるが、
クリスマスプディングやシュトーレンとなると知らない人も多いようだ。
どちらのケーキもそれぞれの家庭の味があるのだが、
基本はナッツやドライフルーツを油脂のたっぷり入った生地に焼きこんだものだ。
手軽に型に入れて蒸し焼きにしたのがクリスマスプディングならば
パン生地でキリストの揺りかごを模したのがシュトーレンと言うわけである。
また双方共にシナモンやナツメグなどのスパイスを入れる事が多いようだが、
これらのスパイスはヨーロッパ原産ではない。
スパイスがはじめてヨーロッパに持ち込まれた当時は金と同じ価値があったと言われている。
当然その頃の庶民にそんなものが使えるはずもない。
これは現在のレシピが比較的近代に成立したことを物語っている。
私が思うに、このふたつは本来同じものだったのではないだろうか。
オリジナルのクリスマスプディングに牛の腎臓のまわりの脂を使うことから推察するに、
本来は遊牧民であるゲルマン民族の保存食だったのだろう。
それがキリスト教の影響を受け、
さらにスパイスが豊富に入手できるようになって今の形になったのだと思う。
これだけの歴史に裏打ちされた慣習はすたれないものだ。
しかし日本のクリスマスケーキはどうか。
日本では家庭でケーキを作っている人が少ないこともあり、
必然的にケーキ店やメーカーの大量生産品を購入することになる。
個人営業の店ならともかく、
大手メーカーが手間のかかるシュトーレンやクリスマスプディングを作るわけもなく
クリスマスには比較的手間のかからないショートケーキが主流になってしまったのも当然だと言える。
でもこれを読んでいるあなたは違うよね。
手間暇かけて作ったクリスマスケーキ。
今年こそ家族や恋人の喜ぶ顔を見ようじゃないか。 |