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隔世遺伝
生チョコ
バレンタインデーも近くなり、洋菓子店の広告にもチョコレート菓子が並ぶようになった。
そんな中のひとつ、コージーコーナーの新聞チラシを見ていた父が一言。
『生チョコってなんだ?』
どうやら以前私が作っていたのと形が違うので気がつかないらしい。
そういえば冷蔵庫に生クリームの残りがある。
製菓用チョコレートも200g近く残っている。
当然バターの在庫もココアの在庫も問題ない。
この間買った角型セルクルも出番を待っている。

それでは同じものを作って差し上げよう。


夕飯のあと、いきなりチョコレートを刻み出す私。
『甘さは控えめでいい?』
砂糖は省略。
『アルコールは何がいい?』
チョコにはあまり入れない方が好みらしい。

生クリームを沸かして注いでガナッシュを作り、無塩バターを溶かしてラップを張ったセルクルに注いで冷蔵庫で冷やし待つことしばし。
セルクルをバーナーで温めて抜き、たっぷりのココアを振って切り分ける。
あまりの単純さにちょっと驚き気味の二人。

そう言えばこんな時間に両親の前でお菓子作りをするのは始めてかもしれない。


辛党で通った父もいい年になって甘いものを食べるようになった。

そう言えば祖父も甘いものが好きだった。
夕飯のあとで甘味処などに良く連れて行ってもらったものだ。
私の甘いもの好きは祖父の隔世遺伝とばかり思っていたが、やはり血は争えないと言うことだろう。
甘味ではなくチョコレートであるところは多少違ってるか?

けれど違いはそれだけではない、最大の違いはお店で食べる甘いものではなく私が作ったお菓子であること。
私の技術がようやく父のお眼鏡にかなったと言うべきか。

おかげで最近は家族の目を気にせずお菓子作りができるようになった。
何よりこれが一番の利点なのだろう。


甘いお菓子は(多分)認めてくれた父だが、最近はパンを作らないのかとせっついてくる。

確かに昔はちょっと焼いていた時期もあって、食パンの型もしっかり買ってある。
でもねえ、パンを焼いてもHPにアップできるほどの腕じゃないんだよねえ。
それに主食であるパンを用意するのは一家の主婦の仕事のはず。
私は趣味に生きるのだ。
 

そう言えば母方の祖父や大叔父は趣味に生きる人だった。
どうやら私はこちらの血も引いているようである。


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2002/01/19 update